サッカーではしばしばバックパスを行うことがあります。他のスポーツではあまり見られない要素のひとつであるバックパス。一見するとボールを後ろに下げ、後退しているように見えるパスですが、多くの意味がそこには隠されています。
そこで20年以上サッカーを続けてきた筆者がバックパスの意味や効果について解説していきたいと思います。
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そもそもバックパスとは?
バックパスとは、その名の通り後ろにボールを下げること。ですが一般的には最終ラインやキーパーまで戻すパスを「バックパス」と呼ぶことが多いでしょう。FWから中盤(MFの選手)などに下げるパスはフィールド上の高い位置であることが大半であるため、確かにバックパスではあるものの、本来の使い方とは少々異なるように思います。
また、バックパスを語る上で欠かせないのはGKへのバックパス。1992年までGKへのバックパスは手で取ってもいいというルールでしたが、後に改正。サッカーをよりエキサイティングなものとし、時間稼ぎなどを防ぐためにGKもフィールドプレーヤーと同様足で扱わなければならなくなりました。これにより、GKにも足元の技術が必要となったのは有名な話です。
ですが、ヘディングや胸でのバックパスは手でキャッチしていいというルールになっています。
バックパスの意味
ここで本題に移ります。なぜバックパスをする必要があるのでしょうか。
バックパスはビルドアップを行う際に一度作り直すための時間を与えることができるプレー。サッカーでは相手もいるので、前にボールを送るだけではゴールには近づけません。そこで前後左右、斜めにもボールを動かしながら少しずつボールを前へと進めていく必要があるのです。
バックパスは一度作り直すことの他にも、相手選手を撹乱する効果もあります。少し角度をつけたバックパスをすることで、相手選手は首を振って行方を追わなければなりません。すると自身の本来のマークを見失い、結果としてボールを持っているチームはビルドアップを容易にすることができるようになるのです。
バックパスを使うべき選手
バックパスを上手に使う必要があるのは主に中盤の選手。チームのパスのリズムを操り、ときにはバックパスで「ここは一呼吸置こう」と全体にメッセージを送る必要があるのです。そうすることで前線の選手も動き直す時間が与えられ、ビルドアップでチーム全体の意識を共有することができるのです。
歴代日本代表では遠藤保仁がバックパスを得意としており、現在では川崎フロンターレMF大島僚太も巧みにバックパスを使いこなしています。
まとめ
今回はバックパスの意味や意図について解説してきました。ボランチの選手などは特に意識してバックパスをすることが重要になってくると思います。