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サッカーでのターンオーバーとは…行う意味となぜ必要なのか?

サッカーにおいてターンオーバーという言葉を聞いたことがあるでしょうか。特に欧州サッカーでは当たり前のように使われている方法のひとつですが、日本ではいまひとつ意味がまだ浸透していないように思います。

今回はそんなターンオーバーについて解説。どのような意味を持ち、使われているのでしょうか。

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ターンオーバーとは?

英語の名詞で「turnover」という言葉は存在します。意味は「転覆」や「転倒」、「回転率」など。また、「turn over」という連語は「裏返す」という意味を持っており、比較的サッカーのターンオーバーに近い意味を持っているかもしれません。

では、サッカーでのターンオーバーとは実際どのような意味なのでしょうか。以下で解説しておきましょう。

サッカーにおけるターンオーバーとは?

サッカーにおけるターンオーバーとは、メンバーを大きく変えて試合に臨むこと。一般的には強豪クラブなどがカップ戦や格下相手の試合など、重要性の低い試合で控え選手中心の布陣で臨むことを指します。

特に欧州サッカーではターンオーバーを行うことは指揮官の腕の見せどころのひとつ。イングランドなどでは、常に複数のコンペティションを戦う必要があり、過密日程となるので、選手を休ませつつ、戦うことが求められるのです。そうすることで主力選手のケガを避け、かつ控え選手のフラストレーションを溜めさせないというメリットもあります。

どんな名将であっても、多くの選手がケガをしてしまえばどうすることもできません。そのため、ジョゼ・モウリーニョやジョゼップ・グアルディオラといった世界的指揮官もターンオーバーは積極的に活用しています。

一方で、デメリットも存在します。

当然、普段なかなか出場機会のない選手にチャンスを与えることになるので、連携面や能力面でも通常のメンバーより劣る可能性もあります。そして、カップ戦のような一発勝負の舞台では、負けてしまえばそのタイトルを逃してしまうことにもなるので、選手を休ませてもタイトルを失うというビッグクラブにとっては本末転倒の結果にもなりうるのです。

日本サッカーであまり浸透しないワケ

欧州サッカーでは日常的に行われているターンオーバー。ですが、Jリーグではあまり積極的には行われていないのが現実です。欧州ほどチーム同士の戦力差が開いていないこともありますが、過去に「ベストメンバー規定」があったのが大きく影響しています。

Jリーグ規約第42条には「Jクラブは、その時点における強のチーム(ベストメンバー)をもって前条の試合に臨まなければならない」というものがあります。「ベストメンバー」は「補足基準」として「J1リーグ戦およびリーグカップ戦における先発メンバー11 人は、プロA契約選手または外国籍選手を合計6名以上含まなければならない。ただし、アマチュア選手、プロB契 約選手およびプロC契約選手は、当該外国籍選手に含まない」と記されており、大幅なメンバー変更、つまりターンオーバーはできないようになっています。

これを違反した場合には、制裁金や勝点減といった厳しい制裁が下される可能性もあります。ですが2019年以降、多くの批判があったことでベストメンバー規定は実質的な撤廃に。リーグ戦ではあまり行われていないのが現状ですが、カップ戦などでは昔よりはターンオーバーが行われるようになっています。

アマチュアレベルでのターンオーバーは?

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基本的に戦力的に余裕のあるチームが使える戦略のひとつであるターンオーバー。高校や大学のサッカー部、社会人のサッカーチームではあまり実用的なものではないでしょう。もっと言えば、プロであっても残留を争うような中堅以下のクラブでターンオーバーを採用するチームは皆無と言えるでしょう。

ただし、高校サッカーで最高峰でプレーするようなチームは別です。高校サッカーでも高円宮杯プレミアリーグなどに参加するチームは、他のリーグや大会では大幅にターンオーバーをして、試合に臨むことがあります。それは多くの部員数に支えられ、実力的にも拮抗していることが理由に挙げられます。青森県の青森山田高校、千葉県の市立船橋高校、千葉県の流通経済大付属柏高校などがそのひとつです。

まとめ

今回はターンオーバーについて解説してきました。例えば見に行った試合でターンオーバーが行われ、お目当ての選手がメンバーにいなかったらテンションが下がることも確かです。ただし、チームがシーズンを勝ち抜いていく上で、ターンオーバーは絶対に必要なものなので、ファンとしては受け入れることが求められるかと思います。

もっと言えば、そのターンオーバーからスターが生まれる可能性もあります。これまで、ターンオーバー中心の起用となっていた若手がブレイクしてスタメンを奪取した例は枚挙にいとまがなく、そういった面も楽しんで見られるとよいでしょう。

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